2006年3月 韓国ソウル
友人から紹介してもらった1人の韓国人バリスタがいます。
名前は、KIM HYOSUB (キム ヒョソプ)
最初に彼と会ったのは、コーヒーアカデミーと呼ばれる育成所。
1階がカフェを運営しており、2階にそのアカデミーの一部がありました。
そこでは、焙煎やエスプレッソなどの教育をし、世の中にバリスタを排出する育成所。名前をバリスタアジアといいました。
当時の韓国では、スターバックスはあるものの、ヨーロッパ、アメリカのカフェはもちろん、自国のカフェすらほとんどない状態。ドーナツ店でコーヒーを注文すると、水道水の匂いがするドリップコーヒーが出てきたのを今もよく覚えています。
コーヒーといえば、インスタント。
スティック状のインスタントコーヒーをお湯で溶かした、何とも甘いコーヒー。
皆、それを好んで、食事のあとに小さな紙コップでお湯を注ぎ飲んでいました。
カフェと呼ばれるお店では、コーヒー1杯がとても高額で、本当に美味しいと思えるコーヒーに出会ったことは数少なく、ソウル市内のあらゆるカフェを、私は散策していました。
ヒョソプ氏は、そんな自国のコーヒー市場の底上げに注力してきた人です。
言葉は上手に伝わらないけど、彼が今日まで良くしてくれたのは、今でも忘れない、「君のコーヒーに対する熱意が好きだから。」 と言います。
そして、なぜそんなに良くしてくれるのか?無名の私のようなバリスタのタマゴを。と聞いたときには、彼はひとこと、私にもわかる韓国語で。
「バリスタだから」
と。
2006年
ここから彼との友情が始まりました。
母親のおなかにいる時に、国籍を選べるか?
国は違えど、言葉は通じずとも、同じ人間じゃないか。
ともに酔っぱらっては、2人路上で座り込み
ともに熱く語り合っては、何度も握手をし
ともに母の話で、涙を流す
彼との出会いが、私の今の人生の大きな分岐となりました。