#028.KIM HYOSUB_01

 

2006年3月 韓国ソウル

 

友人から紹介してもらった1人の韓国人バリスタがいます。

名前は、KIM HYOSUB (キム ヒョソプ)

 

最初に彼と会ったのは、コーヒーアカデミーと呼ばれる育成所。

1階がカフェを運営しており、2階にそのアカデミーの一部がありました。

 

そこでは、焙煎やエスプレッソなどの教育をし、世の中にバリスタを排出する育成所。名前をバリスタアジアといいました。

 

 

当時の韓国では、スターバックスはあるものの、ヨーロッパ、アメリカのカフェはもちろん、自国のカフェすらほとんどない状態。ドーナツ店でコーヒーを注文すると、水道水の匂いがするドリップコーヒーが出てきたのを今もよく覚えています。

コーヒーといえば、インスタント

スティック状のインスタントコーヒーをお湯で溶かした、何とも甘いコーヒー。

 

皆、それを好んで、食事のあとに小さな紙コップでお湯を注ぎ飲んでいました。

 

カフェと呼ばれるお店では、コーヒー1杯がとても高額で、本当に美味しいと思えるコーヒーに出会ったことは数少なく、ソウル市内のあらゆるカフェを、私は散策していました。

 

ヒョソプ氏は、そんな自国のコーヒー市場の底上げに注力してきた人です。

 

 

言葉は上手に伝わらないけど、彼が今日まで良くしてくれたのは、今でも忘れない、「君のコーヒーに対する熱意が好きだから。」 と言います。

そして、なぜそんなに良くしてくれるのか?無名の私のようなバリスタのタマゴを。と聞いたときには、彼はひとこと、私にもわかる韓国語で。

 

 

「バリスタだから」

 

 

と。

 

 

 

 

 

2006年

 

ここから彼との友情が始まりました。

 

 

 

母親のおなかにいる時に、国籍を選べるか?

 

国は違えど、言葉は通じずとも、同じ人間じゃないか。

 

 

 

 

ともに酔っぱらっては、2人路上で座り込み

 

ともに熱く語り合っては、何度も握手をし

 

ともに母の話で、涙を流す

 

 

 

彼との出会いが、私の今の人生の大きな分岐となりました。